4K Mini LED液晶テレビとして総合力に秀でた高画質、TCL「C8Kシリーズ」65型/98型をレビュー
国内でもコストパフォーマンスの高さが評価されて、シェアを着実に拡大しつ続けるテレビブランドのTCL。2025年も大画面モデルをはじめ、多数の4Kテレビを意欲的に国内市場に投入している。
なかでも注目したいのは、4Kテレビにおいて旬のキーワードと言える「Mini LEDバックライト」と「量子ドット技術」を搭載したプレミアム4K Mini LED液晶テレビ“Cシリーズ”だ。最上位にあたるプレミアム“C8Kシリーズ”をはじめ、ハイグレード“C7Kシリーズ”、そしてスタンダード“C6Kシリーズ”という布陣である。



最新世代のCシリーズは、バックライトシステムを刷新したことによる高輝度化と、ローカルディミングで気になりがちだったハローを低減させたことがトピック。併せて、抜本的な広視野角化や映像エンジンの進化も実現している。
また、C8KシリーズとC7Kシリーズでは、「BANG & OLUFSEN」サウンドシステムを搭載するなど、高音質技術もブラッシュアップ。本稿では、そんなオーディオ・ビジュアルファンが気になる技術が満載なCシリーズの技術特徴を解説していきながら、C8Kシリーズの画質・音質レビューをお届けする。
「全領域ハロー制御テクノロジー」搭載で徹底的の高コントラストを追求
Cシリーズを構成する3ライン(C8K/C7K/C6K)のスペックを整理し、それぞれの特徴を探って行こう。3ラインに共通する見逃せない注目技術であるのが、高コントラストな映像再現に繋がる「Mini LEDバックライト」、広色域化を実現する「量子ドットテクノロジー」、そして独自技術の「TCL全領域ハロー制御テクノロジー」である。


なかでも特に注目なのが「TCL全領域ハロー制御テクノロジー」。映像コンテンツの明るい部分のバックライトが隣接する黒い部分に漏れることで映像が膨張したかのように見えてしまう「ハロー現象」を低減する技術だ。

各社がMini LEDバックライトのローカルディミング技術を導入したり、バックライトの分割数を増やしていくことで高コントラストを実現してきたが、TCLはバックライト分割数の増加のみならず、そこからさらに踏み込んだアイデアを具現化したのだ。
高輝度化させた最新世代のMini LEDバックライトに「凝縮マイクロレンズ」を組み合わせて光の広がりを抑えるというものだ。また、「強力発光チップ」の搭載によって、前年モデルよりも53.7%の明るさ増加、エネルギー効率も10%高めるなど、総じてパネル性能を大幅に高めている。
最新世代のAI映像エンジン「AiPQ Pro プロセッサー」を搭載
3ラインで大きく異なるのが、採用されているHVAパネルの特徴とローカルディミング数だ。C8Kシリーズは高コントラストと広視野角を両立する「CrystGlow WHVAパネル」が導入されており、最大ピーク輝度は5,000nits、最大3,600個以上の分割数を備えた「プレサイスローカルディミング」技術を備える。

C7Kシリーズは「CrystGlow HVAパネル」を採用し、最大ピーク輝度は3,000nits、最大2,000個以上の「プレサイスローカルディミング」技術を採用。そしてC6Kシリーズはスタンダードな「HVAパネル」を採用し、分割数は明かしていないが「プレサイスローカルディミング」技術が組み込まれていると謳う。

映像エンジンには「AiPQ Pro プロセッサー」を搭載しており、放送番組からネット動画までAIエンジンによって映像コンテンツを分析し、最適な高画質処理を施してくれる。シーン毎に映像のコントラストや明瞭さを調整してくれる「Ai-シーン」をはじめ、「Ai-HDR」「Ai-コントラスト」「Ai-カラー」といった多数の高画質技術を活用可能となっている。

3ラインとも最大144Hzリフレッシュレート/VRRでのパネル駆動に対応しており、HDRフォーマットはHDR10やHLGだけでなく、最新世代フォーマットのHDR10+やDolby Visionもカバーする。また、C8Kシリーズのみ超狭縁「Virtually ZeroBorder」設計によって、さらに没入感を高めている。
「BANG & OLUFSEN」システムでイマーシブサウンドを楽しめる
オーディオ・ビジュアルファンが見逃せないのが、スピーカーシステムにデンマークの名門オーディオブランド「BANG & OLUFSEN」のサウンドシステムを新投入したことだ。C8K/C7Kシリーズに採用されるが、音質設計のみならず最終的なサウンドパフォーマンスもBANG & OLUFSENが確認し、同社が掲げる高い基準をクリアしており、期待が膨らむ。

立体音響フォーマットはDolby AtmosとDTS:Xに対応。2つのフォーマット両方に対応している4Kテレビが少ない中、最新世代の立体音響フォーマットをいち早く再生できるようにしている点は、Cシリーズの大きな特徴だと言える。
機能面では、Google TVの採用により多数のVODサービスを視聴できるほか、音声操作のGoogleアシスタント、ChoromecastやAirPlay 2も利用可能だ。また、AIによる生成アートワーク機能「Ai ART」にも対応しており、例えば映像コンテンツを視聴しないときでも、AIによってユーザー好みにカスタマイズされた映像を、スクリーンセーバーのように楽しむことができる機能も備えている。

ハローや黒浮きが皆無で強烈なコントラストによって立体感が生まれる
今回はCシリーズのポテンシャルを探るべく、最上位のC8Kシリーズから、売れ筋サイズの65型「65C8K」、最大サイズの98型「98C8K」の画質レビューを実施した。

65C8Kでは先ず、最大のトピックである「TCL全領域ハロー制御テクノロジー」と「CrystGlow WHVAパネル」の実力をデモ映像で確認した。画柄は黒を背景に白磁器や宝飾品といった美術品にスポットライトがあたるような構図だが、白い壺は強化されたパワフルなLEDの輝度によって白さが際立ち、それでいてハローも皆無だ。

ヒトの視覚側でもハローは発生するが、本機で生じているハローはそれ以下であり、強烈なコントラストによって立体感を生む。宝飾品は金属の磨かれた艶感がリアルで、宝石が色をキープしたままキラッと輝く様子も心に沁みる。
また特筆すべきは、斜め横から視聴しても黒の浮きが皆無で映像のインパクトが保たれること。コントラスト性能で有利なVA方式をベースに広視野角を達成したWHVAパネルのアドバンテージは明らかだ。

